失敗散財回避術/その2/己を知るべし知らぬべし

オーディオあれこれなお話

適切なゴール設定を置くことは失敗散財を回避するために重要なので、前回はその心構えとも言うべき内容を記した訳ですが、今回は具体的な行動と結果を導くために必要な要素としてまず「己を知る」事を設定し、更にそこから踏み込んだ話に発展させたいと思います。

オーディオ的に己を知るとは

オーディオ選びでまず重要な事は何か?それはまず己はどのような音楽をどのようなシチュエーションで聴くことを重視するのか?そこで考えて欲しいのがその頻度だけに捕らわれないで欲しいという事です。
コスパや効率を重視するのは仕事においては最優先される場面が多いと思いますが、あくまでこれは趣味の世界のお話なのでただ単に、最も聴く音楽が~とか、結局聴ける時間が通勤通学など移動時だからとか、そういうお話ではなく己が最も幸せを感じる極上のオデ体験はどこなのか?というお話をしたいのです。そこを考えたうえでなおかつそれでも最もよく聴くジャンルを移動時間にオデるのが幸せならそれでOK。しかし週に1回あるかどうかわからないような休日の昼間に部屋でスピーカーを限界まで音量を上げて聴くのが幸せ、もしくは深夜にヘッドホンを装備して周囲に気兼ねなく音楽に没頭するのが幸せと感じるのならその「己」に従った方を選択してほしいということです。その中において極上の音質で聴きたい「音楽」というのも見えていると思いますが、すべてのジャンルを1番良い音質で聴きたいという想いは捨てて欲しいのです。すべてに平均を求めた挙句何も得意領域が見えないというドツボにハマるからです。なのでオーディオ的に良音で聴きたいを求めた場合はしっかり己の好むジャンルや音楽の傾向を定めシチュエーションを考える必要があるのです。全体的にグレードが高ければ良く、苦手な部分は持ちたくないという考えも十分ありだけど、生半可な価格帯では満足するには難しい課題でしかも、あまり聴かない音楽の再生を意識してそこにまでコストを取られるのは得策ではないでしょう。
僕などは最も好きな音楽と言えばヒーローのEDソングやBGMだったりするのですがそこにコストをかけた機材で聴きたいかというとそうではなく、そういった音楽はカーステやポタオデなどで移動中にも聴ければ最高であり、そこには「音質」よりも優先順位が高い別の要素があるのです。本当に良い音質で聴かないと伝わってこない音楽or演奏で感動体験するために人類が英知を集めたオーディオという存在があるのです。ぜひ「己」に従ってそこを外さないでいただきたいのです。

己を知らぬべしの意味

己を知ることで次に買うべき製品が定まってくるようになります。それは求めるジャンルや音楽の傾向によって製品選びの選択肢が具体的に定まってくるということです。その過程において様々な製品のスペックや特性など、価格帯によってどの程度それらが備わっているのかという知識もおのずと身についてくるはずですが、そこにトラップが存在するのです。
研究すればするほどに次々と新しく知らないことが波のように襲ってくるので、どんどんとそこに飲み込まれて知識を取り入れようとあらがう事になりますが、そこにはそこそこの距離感を置いて自然に理解できる領域でとどめるのがいいでしょう。


没頭するのを否定しているのではないですが、最終的には己の耳で聴き判断して購入すると思うのですが、この時に大きく己を妨害してくるのがそれまでに取り入れてきた知識なのです。もちろん知識はあればあるほどより適切な判断に寄与してくれるのですが、自分の耳で聴き分けできない数値をどこまで重視するのか、そもそもそれが感覚として身について実感できるのか?といった疑問は常に付きまとってくるのです。で、あるにもかかわらず、あまりに自信が大きく宿ると…己の耳を置き去りにして本末転倒な分析に捕らわれ、あらぬ方向へ転がり始めるのです。
そして己に付与した大きな知識で自身に満ちてしまうと考えが固まり出し、新しい方式や理論に否定的になって聴く前から製品の批判を言い出したり、他人の意見や感想にケチを付けたりと、ネガティブ方向に流れる危険が大きくなってくるのです。
とにかく自分の求めるオーディオ探求の道のりを無駄な回り道にしてしまう原因になりかねないので知識の入れすぎキャパオーバーは注意してください。
ある程度腑に落ちる知識を入れた後は己の耳と直感、フォースのチカラを信じるのですw
そういった意味を込めて己を知らぬこともまた必要だとしたのです。
スペックと価格、誰かの意見だけを指標にしていると失敗散財は避けられないものとなるのです。

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