さて、今回で一応完結編となる失敗散財回避術ですが(ちょいちょい修正と追記しますが)このような超マイナーなブログにお越しいただいた皆様は日々のコスト配分にさぞや頭を悩ませていると勝手に想定して進めさせていただきます~😉
その3で分けた三つのスタイル別に基本のコスト投下順を定めた上で、タイプ別の「型」に分け、これぞベスト配分という順序を考えてみました。※アナログディスク再生は今回も考慮していません。
現在のコスト投下比率の正解は?
音の出口から入り口にかけて段々と音声信号は小さく繊細になっていきます。逆に言うと入り口から出口にかけて信号は大きく増幅され、濁ってきます。濁りを意識すると電源を含めた上流から整備をしたくなりますが実際の可聴域では出口に近い順の機器を変更するほど変化幅が捉えやすいものです。
(既にかなりのレベルでシステムが仕上がっている場合は例外ありですが)
ゆえに昔(1980年頃)からよく言われているスピーカー50アンプ25プレーヤー20アクセ5とか、スピーカー5アンプ3プレーヤー2とか、そういった比率があって、今でもその比率は変わったとしても順位としてはやはりスピーカー>アンプ>プレーヤー(>アクセ)は変わらないと考える方は多いと思うのですが、現代でもその順位を決めつけてしまうのはちょっと待ったと言いたいのです。
なぜならば、技術の進化がほぼ止まったスピーカーがある一方、上流環境(アンプ、DAC、サブスク等)の技術革新、企業努力の激安化などにより、上流がもたらす音質の向上が目覚ましいのです。一定水準の高音質化にたどり着けるハードルは昔よりも確実に下がって、オーディオという趣味はかなり入門しやすくなっていると言えるでしょう。
そんなオーディオの世界ですがそれゆえの弱点というか厳しい部分もあります。それはちょっとやそっとの研究ではレベルの上がり切ったオーディオ界でユーザーを新たに感動させる音質向上が見込めないと言いますか、少しでも向上させようとしたときにかかるコストバランスがとんでもないことになるのです。例えますと1cm大きくするのに30cmまでは安く済むのにそれを超えようものならどんどん割に合わないコストになっていきやがては指数関数的に(知らんけど)コスパは悪くなっていくのです。
なのでこれ以上先は危険だよというかお得じゃなくなるというラインがあって、そこのラインも個々により多少の幅はあるものの明らかにおかしな世界は用意されていて、なんとなく突入して大損と感じるデッドゾーンが存在するのです。
ではそのデッドゾーンをものともしない「漢」以外の皆様のためにコスト投下比率の正解らしきものをある程度定めた上でまずはこの優先順位で投資をスタートさせれば安定したアップデートができるという道筋を考えていきます。
スピーカー・スタイル
進化がほぼ止まったと言えるホームオーディオにおけるスピーカーを基軸にしたこのスタイルは絶対的にコスト配分はスピーカーが主役。
アンプ内蔵のアクティブスピーカーならば【スピーカー9:その他1】でも良いぐらいですが、大型のパッシブスピーカーをそれなりの広い部屋で鳴らすとなれば昔の比率でも良いでしょうが
アンプやDACは中華ブランドの企業努力や技術のミラクル入手によりw安価で高性能が進んだために、【スピーカー7:アンプDACその他3】入り口はPCなら無料ソフトでCDリッピングファイルを再生、スマホならサブスク→DAC+アンプを経由でも十分なので特に直接的なコストに入れる必要はないでしょう。
しかし入り口に高級DAPや高級なネットワークストリーマーなど設置するパターンがあり、これらは後に説明するコスト投下パターンの「型」によってその価値が決まってきます。
イヤホンやヘッドホンのように出口を気軽に変更できない分、スピーカーはより慎重に選ぶことが重要です。それを決めた後の優先順位はアンプ→DAC→SPケーブル→電源回りの強化の順で最後に入り口で良いでしょう。
ヘッドホン・スタイル
ヘッドホン中心の場合と言ってもワイヤレスお出かけ派はとりあえずコストはHP(ヘッドホン)に全振りでOK、音質的に気にするのは接続先のコーデックのみとなる(一部イヤーパッドの変更可能)のである程度のスマホがあればそれで終了となる。この点を考えると恐らく一定の水準を最もコストを掛けずに到達できるジャンルかもしれない。LDAC、aptX Adaptive ANC(アクティブノイズキャンセリング)ワイヤレス充電、等が選別の要素になるがSBC/AACコーデックでも十分音質の良い機種も多い。
問題は有線HP、中でもマニアックな静電型は専用アンプを用意しなければ音が鳴らせないので大変。それはさて置いたとしても、HPは振動版の大きさからイヤホンよりもかなり高い駆動力を必要とするため本気で性能を求めたいなら最低でも【HP6:DAC+アンプ4】~【HP4:アナログアンプ3:DAC:3】の比率で割振るのが良いと思いますが、DACに関しては10万ちょいでエース級のチップを搭載するモデルがあるのでそれ以上は慎重に。アンプには求める出力端子の形状を確認すると共に、バランス回路の搭載なども要チェック項目です。基本的に真空管アンプはバランス回路になっていないことが殆どで、あってもなんちゃってバランスの場合もありますので要注意です。
入り口からアンプまでをカバーするDAPという選択肢もありますが、小型or携帯するためのコストがかかっているので同コストで音質重視なら据置機材に投資する方が有利です。
優先順位はHP→アンプ→DAC→リケーブル
イヤホン・スタイル
TWSの世界も先ほど紹介したワイヤレスHPの内容とかぶりますので、ここでも有線機に絞ってお話を進めます。有線イヤホンは現在異次元の超ハイエンド機種が軒を連ねるバブル期に入っていると言ってもいいでしょう。そこでつい上の機種を狙いがちになりますが冷静に考えると音質に影響を与えうる部分にどれだけコストを割いて製作されているかという疑問が沸くモデルも少なくありません。ぶっちゃけメーカーの粗利が最も見込める分野なので最も熱いジャンルとも言えます。これに踊らさせるのもまた一興ですがwせっかく音の出口替えが気軽にできる分野なのでここはひとつDACアンプ部やDAPを中心にコストを配分し、そこそこの中堅イヤホンを数本持つか、最新格安モデルを追いつつ何本も買いあさり、その進化の恩恵を目いっぱい受けるのが正解のように思います。10万ほどをDACアンプに投資することによってほぼ全てに近いイヤホンの実力を測ることができるので、試聴に行っても真の性能を見過ごす事無く聴ける意味はデカイのです。注意点はDAPの買換えは最もダメージが大きいので慎重に。お勧め配分としては【DACアンプorDAP7:イヤホン2:ケーブル1】(スマホを使用する場合とイヤピのコストは計算に入れていません)イヤホンリケーブルは僕の経験上リケの中で最も恩恵があり音質改善に直結するケースが多いです。
イヤホンにどうしてもメインコストを振りたい場合やあくまでポタオデをサブ機として割切るならスマホ+ドングルタイプDACという選択肢もありますのでその場合は【イヤホン7:DAC2:ケーブル1】と割振ることになるでしょう。
型別のコスト配分
オーディオスタイルが決まっていると言ってもその付き合い方は様々でひとつに集中してコストを投下する場合もあれば、バランスよく投じていくケースもあるので、次はそのコストのかけ方を「型」を分けてみていこうと思います。
最新乗り継ぎ型
とにかく最新機種にアップデートしていき、その恩恵を受ける。旧型は手元に残さないタイプなので欲しいものにドバっとコストが割けるが常に手放すときの価格を意識して、中古になると大幅に値が下がる機器には手を出さないというコストムーブが必須になる。
常に最新を味わう優越感という満足を得る。少数精鋭になっていくのでスペースに余裕が出来て機器を手放す際の金額ロストを減らすことも可能。生贄召喚により新型機の導入が楽になる。
聴くジャンルや好みが変わればすぐに飽きてしまう危険アリ。手放した機器への後悔がにじむこともある。フリマサイトなどで自分で機器を売り払うスキルと手間がかかる。
コレクター型
買ったものは手放したくない、価値の高いものに魅力を感じる、様々な音質傾向の機器を所有しておきたい。並べることに満足感が高ぶる。オークションサイトに張り付いて出物に備えて常に一定のコストをキープしておくムーブが必要。
一人眺めるだけでニチャ~とできる。Twitterで「うぇ~い」と自慢できる。ブログなどでレビューする場合に様々な機器と比較した記事が書ける。いざとなったら高値で売却できるアイテムを所有すれば精神的にも金銭的にも余裕が生まれる。
場所という概念と管理するという両方のコストを払い続けることになる。劣化するパーツも心配の種になる。ある日突然飽きてしまったときの喪失感が大き過ぎる。
一点集中型
とことんひとつの道を極めんとする修行僧、探求人。時代に左右されにくい分野のフラグシップ級の製品にコストを集中させる。見極めの技術が高いレベルで必要になるためしっかりした己の趣味趣向が固まっていてかつ、耳と知識が確かでなければ成立しない。このように追求していく場合には入り口にもしっかりコストを掛ける必要が出てくるのでRoon+TIDALの導入からネットワークシステムの構築、高級DAPの選択など、抜かりないシステムを積み上げていくことになる。
完成に近づければおそらく余程の事件がない限り時代に左右されず究極の体験を堪能できる(でしょうね)最高の自己満足に包まれる(包まれてみたいw)でしょう。自分の後を歩いてくる人が質問してきたときに答えることもできる。
裕福な生活環境が無ければ修羅の道と化すか、そもそも目指せない。無理して手に入れても速攻でキャッチ&リリースになり大損してしまう。仮に完成したとして、その後買うものが無くなり、変なアクセサリーや謎の物体にコストを掛けてしまう。失敗したときは後戻りできない状態になる。
二刀流型
家と外、家だけでスピーカーとHPorイヤホンもしくはHP&イヤホンなどにコスト投下。
この場合は二つに共通して使用する機器にコストを多めに割くとどちらにも恩恵が生まれるのでシナジー性を意識したいです。DACは全てに関係しますのでシステムの核になります。なのであまりケチりたくない部分になります。SP用アンプはHP出力が貧弱な場合やそもそも無かったりします。スピーカーの相方がイヤホンの場合はそれでも影響は少なめですが、HPを繋ぎたいならHPアンプを別に用意した方が良いでしょう。HPアンプにはSP端子が無く、4.4mmバランス出力、XLR出力も無かったりと機器によってバラツキがあります。とにかく探せばお得な組み合わせが見つかるハズなので自分のスタイルに合わせた機器の組合せを見つけコスト投下するのが重要です。
上で触れたシナジー効果による機器の使い回しができる。どちらかのシステムに不具合が起きた時、修理の間の虚しさは軽減できる(ハズ)
どちらかをサブシステムとするならコスト配分は楽ですがどちらも欲張ると出口に大きなコストを割くことになり難しいコスト配分が必要となる。共通で使っている機器に不具合が出た場合は両方に影響が出てしまう。
全方位バランス型
小さくまとめるなら最も楽しい型で、いつどのような場合にでも良質の音楽を聴ける、楽しめるが、より良い音を目指すと一気にコストがかさむ。最悪はどこも中途半端なシステムになるということでしょう。極めるためにはまず優先順位をしっかり描いて最大限のシナジー効果を狙ったコスト投下が必要です。小さく良質にまとめるためのキーになる機器があるとすればお勧めはDCモード付のDAPかポータブルのDAC搭載アンプになります。そこにモニター用のアクティブスピーカーがあればHPとイヤホンで全方位システムが完成します。
まとめ~アクセについての言及
さて、コストの配分と優先順位を意識して書いたつもりでしたが、伝わっていれば幸いなんですが
時にその斬新なデザインや画期的な技術を搭載した綺羅星の如く登場する新製品に心と財布をわしづかみされ、思わぬ衝動買いをしてしまう事もあると思いますが…それも良しとしてくださいw
人間完璧に己をコントロールできましぇん。
しかしながら何かしら目標が立ったのならばなるべく横道にそれず、ここぞの場面でコストをぶち込むことが大切でしょう。年を重ねることでやっと分かることもあってねぇw
ケースバイケースもあるとはいえ、やっぱりある程度コストはキープしてドンと使う方が幸せになれると思うんですよね(^^;)
バブルの時代にアルバイトで稼いだお金をほぼ全てぶっこんで数々の失敗を重ねてきた僕の話が何かのお役に立てればという、ゆる~い感覚でいろいろ書きましたが中には憶測で断定した内容もございますのでくれぐれも鵜呑みになさらぬようお願いします。では最後に僕が一番懐疑的なアクセサリーについて少し触れて終わりたいと思います。
概ねですが大体10万をオーバーしてくるアクセサリーは要注意です。解り易い目安としては、まず専門店の買取価格や手放すときのコストダウン幅がその危険さを物語っています。
あと理論や構造が凄い割には地味な効果なもの。ディレッタやクロックと呼ばれる機材は特定のシステム下では優れた効果があるとされていますが、今のところ僕には全く用事がないため、自分の中では高価なアクセサリーに分類されています。ディレッタについてはしっかりしたHPで聴き比べしましたがとてもじゃないですが僕ごときミミオカでは違いが分かりませんでした。わからないのに背伸びする必要はないのです。
訳解らんところにコストの投資する場合もありますがそれはもう神社でお守りを購入する感覚の範囲ですれば良いと思いますよ!ってことで皆様の買物が幸せな結果を生みますように…
長々と書き綴った専門家でも何でもないオジの独り言のような記事にお付き合いしていただきありがとうございました。<m(__)m>
コメント
非常に納得させられる記事で、最近の私の悩みの解答になるものでした。
Youtuberは、書かない内容ですよね。
私はどれにも大した金額はかけていないのですが、カーステやヘッドホンの方がイヤホンよりもストレス解消になったり、得られる快感が大きいと感じていて、高級化するDAPやイヤホンをどう購入していっていいのか悩んでいました。
今回、音三郎さんの記事を読んで、自分の方向性とか、失敗とか、今後の選択とかが少し見えた気がします。まだまだ、悩むでしょうが、それもまた楽しみとして付き合いたいと思います。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます
僕の散財などはバブル期を運よく生きた世代のちょっとしたたわむれであり、
とても小規模な体験でしたが、専門家でも何でもない僕のブログに
あたたかいコメント感謝いたします
カーステとヘッドホンは自分本位でw目いっぱい楽しめるんで僕も大好きです!
ままきさんのオーディオライフが素晴らしいものになりますように~(^^)